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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

一ぴきの鰻HEADLINE

 むかし、むかし、毎月の一日と十五日は仕事を休みにすることになっておりました。其の日は豆飯を炊いて神仏に供えて、野良仕事の閑な時は朝から一日、どんな忙しい時でも半日は休みにしました。 田の草取りも終わり、畑の草取りもひときまりすんだので、朝から休みの日でありました。 或二人の若者が、谷津田の川に川干しに行こうと相談がまとまり、今まで漁に行ったことはないが、他の者が鯉や鮒がよく釣れると言っている追越の下の方の川で、岩井と森戸の境の方に行きました。 良い場所を見つけてここら辺がよかろうと、道具を下ろして川を堰止めようとしましたら、川ふじの草むらの陰に一人の童子が釣りをしていました。若者たちは「この川を干すんだからほかにかたされ」と言ったら、童子は 「ここを干しても何もいないよ。鰻一ぴきぐらいのものだ」と言って動こうとしないので、辨当の豆飯の握り飯を一つやって、無理にそこをどかせました。そして川を堰止めて水を他所に廻して、昼過ぎまでかかって干し上げてみると何もいませんでした。童子が言ったとうり大きな鰻が一ぴき出てきたばかりでいた。二人はがっかりして、辨当を食って長く休んでいましたが、他所を干して見る気もなくなり、戻ることにしました。二人で一ぴきでは分けようもないので、二人で焼いて食うことになり、その鰻をさいたら中から豆飯が出てきました。 釣りをしていた童子は鰻の精であったということです。