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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

座敷の怪音HEADLINE

 むかし、むかし、幾世の村に或父子二人暮しの家がありました。二人きりなのでいつもひっそりしたもので、父と男の子、二人ではそう語る話も無いので、ことに夜などはほんとに静かでありました。 どんなわけか、此の家に父子が座敷に居ると出居にて、大きな足音がするので行って見ると何の姿も見られない。それが毎晩続いたので噂は近所に広がりました。近くの若者達が来て見ると、居る時は何の怪しいこともなく、帰るとまた足音がすると云うことでした。また或夜は、天上から水がざあざあと手桶一ぱい程も降って来たきともあったという。 そうしたことが暫く続いたが或夕方のこと、父親が風呂から上がって裸のまま家に入ろうとしたら、暗闇から泥をしたたか掛けられたという。このことがあってから、出居の足音も水が降ることもなくなったという。何者がやったものか、とうとう姿を見ることが出来なかったということです。       
《注》「出居」(でい)は、平安時代寝殿造り に設けられた居間と来客接待ようの部屋 を兼ねたもの。後に客間という。民家で は土間に入って手前の部屋を座敷、奥の 部屋を「でい」という。