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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

鰻の鹿島詣HEADLINE

 むかし、むかし、金持ちの家がありました。そこの主人は漁が好きで、何時も川で漁をしていました。 或日いつものように川で漁をしていたら、若い美しい女が来て、其の女の言ふには 「私は鰻の精だが、明日は鰻を捕らえないで下さい。明日は一年に一度鰻はみんな鹿島神社へお詣りをしに行く日なので、どうか捕らえないで下さい」 と何度も繰返し頼むので「それでは明日は一日漁を休もうか」と言ったら、「それでは捕らないと云う証拠を貰いたい」と云われたので、男は「ではこの頭巾をやろう」と言って、かぶっていた頭巾を女に渡してやりました。 翌日男は昨日のことはすっかり忘れて、いつものように又漁に行きました。今まで見たこともない大きな鰻がとれましたが、其の他の魚は捕れませんでした。  家に戻って鰻をさいたら、昨日女に渡した自分の頭巾が出て来ました。昨日、女と約束したことを思い出しましたが、間に合いませんでした。驚いて鰻にあやまりましたが、それからこの金持ちの家はだんだん家運が悪くなって、とうとう滅びてしまったということです。