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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

酒呑み石HEADLINE

 昔、蛇園村でも海まで土地が続いてありました。そこで塩を取ったり網を引いたりしていましたが、その頃のきまりで、浜で水死人が上がった時は死人の上がった土地の村で始末をしなければならぬことになっていました。  そこで、隣の三川村や足洗村などでは、死人が上がると、蛇園浜は村中までは遠いので、こっそり蛇園浜へ転がしておくことがありました。それに、海草など寄った時など、足洗や三川村の者によいところを取られてしまうのでありました。そこで蛇園浜を三川村と土地を取替てしまったということです。  まだ三川村に浜をやらない頃のことでありました。或朝のこと、三川村の者が早く浜に出て見たら、蛇園浜の境あたりに何か黒いものが見えたので、もしや死人であったら蛇園地先にやらねばと行って見たら、大きな石が二つありました。三尺余りもある大きな石でありました。よく見ると、それは男根と女蔭の形をした石でありました。こんな大きな石が、一晩のうちにこんな処に現われるとは不思議なことがあるものだ。そのうち村人達が集まって来て相談したら、誰かが「松沢村の権現様もこの浜から上がったのだから、この石も神の石に相違ない、権現様に納めた方がよい」と言ったので納めることになりました。  松沢村の権現様に納めて後のことでありました。どういうわけがありましたか、この女蔭の形の方の石が隣り村の府馬に移されたら、それから不思議にも、松沢村と府馬村で縁組してもうまくいかず、みんな離婚してしまったと云うことです。 それから百五十年余り過ぎてから、この石をまたもとの松沢に移して蔭陽二つ並べて祀ったら、それからは両村の縁組もうまくいくようになったと云うことです。 縁結びの神としてお詣りする人や、下の病の人は酒を石の頭からかけて祈願すると、酒はこぼれないで石に滲ればご利益が有ると云われ、こちらの方からもお詣りする者が多くあったと云うことです。酒呑み石と名付けられ今でもあるそうです。