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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

飯縄送りHEADLINE

 むかし、むかし、松ケ谷村に、飯縄狐を使うという評判のある人が来ていました。たまたま、一人の若い嫁が狐憑になってしまいました。家人や親戚の者も心配していたら、折りよく常陸の国より祈祷師が来たので祈祷して貰うことになりました。  一昼夜も祈祷が続けられて、其の間寝かせておかれた狐憑きの嫁は、皆の者にまだ出て行かないかと責められたら、嫁の云うには「赤飯に油揚肴など色々馳走を作って送ってくれれば出て行く」と言うので、そこで早速馳走を作り桟俵にのせて村境まで送ることになりました。 その日のこと岩井村の若者が二人、桜井村に用があって戻りに通りかかり、先の方を見ると、人が辻に何か置いて戻る様子なので、あとから行くと、飯縄狐を送るご馳走が置いてありました。狐憑が松ケ谷にあるという話があるが、今それを送ったご馳走だなと二人の若者は顔を見合せ、飯縄狐なんか俺達若い男には憑くまい、今置いていったばかりだから食ってしまえと二人でたいらげてしまいました。そしらぬふりをして松ケ谷を通り、岩井に戻った。 その翌日のこと、松ケ谷より人が来て、桟俵の御馳走を喰ったろうと詰問されたので、とうとう二人は白状しました。  そして松ケ谷の人の言うには、此間折角飯縄を送って癒ったと思ったら、また夜になったら嫁はもとのような狐憑きにもどってしまった。如何にして行くというから御馳走を作って送ってやったのに、行かなかったと飯縄狐を責めたら、岩井の若衆に食われてしまったので行かれないといった。 家人からどうしてくれるのだと言われたので、二人はひらあやまりにあやまり、金を払ったということです。