むかしむかしの話です。蛇園の村人達は浜での仕事が終わって戻ろうとして上がって来たが、ふとふり返ると波ぎわに何か打ち上げられているので引き返してみると、木像の阿弥陀如来様でありました。身の丈程もある大きなもので、永く海に浸かっていたものか貝殻さえ付いていました。これはもったいない、村に持ち帰ってお祀りしなければならぬと、持ち上げようとしましたらなかなか重いので、車に積んで戻ることにしました。
大勢で車を引いてきましたら、途中まできたところ、如来様が「いわい、いわい」というので、これはきっと岩井村のものにちがいあるまいと、岩井村に届けようということになり、車を引いて来ましたら村へ入ろうとした処でこんどはどうしても車が動かなくなってしまいました。村人達はこまって暫く休んでいたが、山の根方に向かってみたら、車はやすやすと動きましたので、還来寺に来て祀ったと伝えられています。
《注》この阿弥陀如来立像は千葉県指定文化財。 両脇侍・尾厨子・須弥壇・前机・本堂は旭 市指定文化財。