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御祈願は雷神社へ

〒289-2616 千葉県旭市見広1371番地

不動の金しばりHEADLINE

 むかし、むかし、徳兵ヱさん等は七、八人で一生一度のもの参りに行きました。 その頃は乗物は駕か馬ぐらいのもので歩かねばならず幾日もかかりました。ある朝のことでありました。宿屋で朝飯をすまして、さて勘定を支払おうとしましたら、同行の中の一人が財布がなくなっていました。同行一同がさがしてもどうしても見付からなく、これは夕べのうちに盗まれたにちがいないと、財布のなくなった男は青くなってしまいました。旅先で無一文になってしまったので、途方にくれました。 同行の中の某が、日頃手癖が悪く、それが盗んだのではないかと疑う者もあったが、口に出して言うことも出来ずにいたら、誰かが 「出発する時、道中無事にお詣りして来る様にとお不動様に祈願して来たのだから皆んなして故郷の方へ向いて拝もうではないか」 と言ったので拝むことになりました。何卒金が戻りますようにと皆一生懸命拝んでいたら、一番後ろにいた男が「足が痛い手の筋がつまってしょうがない」と言い出しました。そしてとうとう身動き出来なくなってしまいました。その男は「すまないことをした、俺が取ったのです。返すから堪忍してくれ」とあやまりました。 一同はこれは御不動様にあやまらなければ癒らないと「お不動様どうぞゆるしください。今後けっして人の物は盗むようなことはしません。」と男はあやまり、同行の皆も男にちかわせて、一同もお不動様におゆるしを乞いましたら、元通り動くようになりました。そして村に帰ったら、早速お礼参りすると共に、額に画いて奉納したということです。 絵の上手だった徳兵ヱさんは清滝村の人であったといいます。